フランス料理の技法を日本の魚介に使うということ
執筆: Bold Oyster Hub、
日本の牡蠣や魚介とフランス料理の組み合わせについて
フランス料理の技法は、もともとヨーロッパの食材のために発展したものです。それを日本の牡蠣や魚介に使うとき、そのまま当てはめるのではなく、食材の性質に合わせて調整する必要があります。この「調整」の感覚は、当店の厨房がいちばん大切にしていることの一つです。
フュメ・ド・ポワソンを日本の魚で取る
フュメ・ド・ポワソンは白身魚のアラを使って取るだし汁です。フランスでは主にヒラメやカレイのアラを使いますが、日本では手に入りやすい白身魚のアラを使います。魚の種類によって風味が変わるため、牡蠣料理に合わせて淡白な魚を選んでいます。
日本で手に入る白身魚は、アラからでも十分な旨味が出ます。フランスの教科書通りの時間(20分程度)で取ると、魚によっては少し濃くなりすぎることがあるため、時間を短めに調整します。
ポワレという技法について
ポワレは、フライパンで油を使って焼く技法です。表面をカリッと仕上げながら、中はしっとりと火を入れます。牡蠣のポワレは、身が崩れやすいため、強火で短時間というのが基本です。
春は牡蠣が産卵期に向けて身が変化し始めるため、生食より火を入れた料理が向いています。ランチコースのメインにポワレをお選びいただけるのも、そのためです。フランス料理の技法が、季節の変化に対応する手段になっています。
ソースは引き算で考える
フランス料理のソースは複雑な風味を重ねることが多いですが、牡蠣に合わせるソースは引き算で考えています。牡蠣の風味を消さないために、ハーブは最小限にし、酸味と塩味のバランスを整えることに集中します。
産地によっては塩味が強い牡蠣もあるため、ソースの塩分は控えめにしています。食材の個性を活かすために技法を使う、というのが当店の基本的な考え方です。
フランス料理の技法は道具です。その道具を何のために使うかは、目の前の食材が教えてくれます。