長崎産牡蠣の旬はいつか、産地から考える
執筆: Bold Oyster Hub、
水温と潮の変化が、牡蠣の味をどう変えるのかを整理する
「牡蠣は冬の食べ物」という印象を持つ方は多いと思います。確かに冬の牡蠣は身が充実していておいしいのですが、長崎産に限っていえば、秋の入り口から旬が始まります。水温が下がり始める10月頃から身の張りが増し、翌年の3月頃まで生食に向く状態が続きます。
水温が下がると何が変わるか
牡蠣は水温が下がると代謝が落ち、グリコーゲンを蓄積し始めます。このグリコーゲンが牡蠣の甘みと旨味の主な源です。長崎の海では、9月下旬から10月にかけて水温が急激に下がる年があり、そういう年は身の入りが早く、10月の時点で十分においしい牡蠣が届きます。
逆に、水温の下がり方が緩やかな年は、身の充実が遅れます。同じ「10月の長崎産」でも、年によって状態がかなり異なるのはこのためです。仕入れ先の養殖業者と定期的に連絡を取り、水温の変化を確認してから発注するのはこうした理由からです。
春になると牡蠣はどう変わるか
3月を過ぎると、牡蠣は産卵に向けてグリコーゲンを消費し始めます。身が水っぽくなり、生食には向かなくなってきます。この時期は火を入れた料理、特にポワレやグラタンが向いています。
春の牡蠣を「まずい」と感じる方がいるのは、この時期に生食で食べてしまうことが多いからかもしれません。調理法を変えれば、春の牡蠣にも十分な旨味があります。ランチコースのメインにポワレをご用意しているのは、このためです。
産地によって旬の時期は違うか
長崎・三重・広島では、海の環境が異なるため旬の時期も少しずれます。三重の的矢湾は内湾で水温の変化が穏やかなため、身の充実が長崎より少し遅れる傾向があります。広島の瀬戸内海は穏やかな水域で、クリーミーさが特徴的です。
産地を複数持つことで、一方の状態が悪い時期でも別の産地でカバーできます。お客さまに「今日はどこの産地ですか?」と聞いていただけると、その日の状態も合わせてお伝えできます。
牡蠣の旬は「冬だけ」ではありません。産地と季節の組み合わせを知ると、一年を通じて牡蠣の違う顔に出会えます。
※ 水温や旬の時期は年によって変わります。ここに書いたことは一般的な目安です。